電子黒板よりも携帯電話-携帯電話禁止とスクールニューディール構想に感じる矛盾

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ネットモラルの教育は、子どもだけではなく、大人にこそ必要だと実感。

[RSA Conference 2009]ネットを危険地帯にしているのは教育者---和歌山大の豊田准教授が指摘
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実は、すでに約10年前から文部科学省は全国の小学校や中学校に向けて、パソコン教育ではないネットモラル教育の重要性を認識して、その教育を徹底するためのガイドラインを配布している。だが、そのガイドラインが実際の教育現場で実践されていない、あるいは一部でしか実践されていない。ネットモラル教育を徹底していない学校や教員は、文科省の方針に従っておらず、本来、教育が徹底されるべきネットモラル教育を怠っていると言える。

豊田准教授によると、「現場の教員は中高年者が多く、インターネットやネット掲示板の意味や教育すべきポイントを理解していない」という。実際、豊田准教授が独自に入手したいくつかの小学校で勤務する教員の年齢分布の一部を見てみると、「40~50代の教員が全教員の7割以上を占め、30代は存在せず、残りは20代。しかも、20代の教員は学生時代に『携帯電話を持ち込むな』とうるさく言われる教育環境で育ってきたため、同じことを今の生徒にもする可能性が高い」(豊田准教授)。
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最後の豊田准教授のコメント「現場の教員は中高年者が多く、インターネットやネット掲示板の意味や教育すべきポイントを理解していない」というのは、本当なのか?と疑問に感じたので、 裏づけとなるデータを探してみました。

学校における教育の情報化の実態等に関する調査結果【速報値】について(文部科学省):平成20年8月6日

この調査データの中に「教員のICT活用指導力」という項目があります。それを覗いてみると、

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  • 大項目(A〜E)別に各小項目の割合の平均を見ると、「A:教材研究・指導の準備・評価などにICTを活用する能力」の平均が約7割(71.4 パーセント)、「B:授業中にICTを活用して指導する能力」の平均が約6割(55.2パーセント)、「C:児童生徒のICT活用を指導する能力」の平均が約6割(57.8パーセント)との結果であった。
  •  また、「D:情報モラルなどを指導する能力」や「E:校務にICTを活用する能力」については、いずれも平均が約7割(D:65.1パーセント、E:65.6パーセント)との結果であった。
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    20090713.gif

    (クリックで拡大)

    ------------引用ここまで----------------------

    先生たちの自己評価によるので、本当にそうなのかは分かりませんが、「D:情報モラルなどを指導する能力」の設問では7割の先生が、「わりにできる」若しくは「ややできる」と回答しています。(調査方法:平成18年度より、文部科学省「教員のICT活用指導力の基準の具体化・明確化に関する検討会」でとりまとめたチェックリストに基づき、全18項目別に 4段階(「わりにできる」、「ややできる」、「あまりできない」若しくは「ほとんどできない」)の自己評価を行う形で実施。)

    「C:児童生徒のICT活用を指導する能力」の平均が約6割ですので、この豊田准教授のおっしゃるとおり、インターネットの活用やモラルに関して教育できる先生が不足しているということが推測できます。

    政府は「IT新改革戦略」というものを掲げています。文部科学省は、それに基づき学校におけるICTの環境整備、教員のICT活用指導力の向上を掲げています。

    さらに昨今の景気対策も絡み合い、文部科学省の2009年度の補正予算として、「スクール・ニューディール」構想というものがでてきました(参考PDF)。学校施設における耐震化・エコ化・ICT化等のために、総額1兆3,174億円を計上しています。その中で学校ICT環境整備としての予算は2,087億円を占めています。

     

    「スクール・ニューディール」構想の推進に関するお願い-文部科学省

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    3 学校のICT化の推進

    未来を担う子ども達への情報教育の充実は喫緊の課題であり、わかりやすい授業を行い、児童生徒の学力を向上させることは極めて重要な課題です。

    今回の補正予算における学校ICT環境整備の事業費総額は4千億円となっており、全国の学校数で割ると1校約1,100万円の整備ができます。

    これまで、教育活用されているテレビのデジタル化は約1%、校務用コンピュータの整備状況は約58%、教育用コンピュータの整備状況は児童生徒7.0人に1台、校内LANの整備状況は約63%にとどまっていました。

    このため、今回の補正予算においては、教育活用されている全てのテレビを50インチ以上のデジタルテレビに買い替えること、このうち電子黒板を小学校・中学校に1台ずつ整備すること、校務用コンピュータについては教員1人1台設置するとともに、教育用コンピュータについては児童生徒3.6人に1台設置すること、全ての普通教室に校内LANを設置すること等に必要な予算(補助率原則2分の1)を確保いたしました。日本の学校の教育用コンピュータは、米国、英国、韓国の学校に比べ半分くらいしか整備されていません。これを機に、ペンでパソコン画面に書き込めるタブレットPCなどを整備して学力向上を目指していただければと思います。

    ------------引用ここまで----------------------

    なぜ、50インチ以上のデジタルテレビに買い替えることが、学校のICT化につながるのかよく分かりませんが、これは思ったように進まない、地上デジタルテレビ放送対応受信機の普及対策の一環といえます(参考:今年5月時点で43.7%(地デジ普及率)-総務省)。

    企業にとっては、学校のICT化対策であろうが、地デジ普及対策であろうが、経済対策としてはありがたいものであり、実際、下記のように盛り上がっています。

    学校向け商品のご提案-シャープ

    電子黒板ってどんなもの? 「教科書・教育ITソリューションフェア」で体験

     

    しかし、教育の観点から見ると、これらの対策はあくまで、ハードウェアの充実を目指すものであり、ソフトウェア(=教育内容、教員のスキルアップ)の充実を目指しているものではありません。

    テレビも電子黒板もツールです。一方、ヤリ玉に挙げられている携帯電話もツールです。ICT化と経済対策が目的であれば、なぜ、テレビや電子黒板はOKで、携帯電話はNGなのか、矛盾を感じます。

    小中学生の携帯電話所持を禁止に--政府の教育再生懇談会が提言-CNET Japan

    小中学生の携帯禁止、親の努力義務 石川県、条例可決へ-asahi.com

     

    ツールの是非を問う前に、ツールを使いこなすための考え方を理解することが何よりも大事だと思います。

    また、「児童生徒のICT活用を指導する能力」がない4割の先生方が、さらに新しい電子黒板などのツールを使いこなせるのかどうか疑問です。

    電子黒板の使い方を勉強するより、子どもたちに欠かせないツールとなりつつある携帯電話の使い方を理解する方が先決だと思うのですが、いかがでしょうか。

     

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    このページは、kobakenが2009年7月13日 23:14に書いたブログ記事です。

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